ピースプーン

「ピースプーン」 第2回

卵アレルギーの方には申し訳ありません。                              

 最近「卵かけご飯」が静かなブームだそうです。一体いつからブームになっているのか分からないのですが静かにヒタヒタとブームがやって来ているそうです。今更、スポットライトを浴びせなくとも、私の家では数十年前からブームになっているスタンダートなニッポンの食べ物としての栄冠輝くシンプルで栄養価高い逸品ですよね。 食べ方もそれぞれの趣向癖がでるようでして「熱々銀シャリに黄身だけかけて頂く」ストイック派や「卵が固まるのが嫌なので、冷や飯に泡立つ程かき混ぜた卵を、ガガッと混ぜ合わせかっこむ」ワイルド派など、人の数と同様の卵かけご飯の数がある、と思った方がよさそうです。 そもそも卵が先か鳥が先かという討論を筆頭とする卵料理論争は、国が滅んでも尚屈服しないゲリラ戦のように持ち越されているようです。いちいち私が挙げぬとも、あー焼き方は、茹で方は、炒り方は、と、力つきても続いてゆくのでしょうね。と、同時に、ハタと思ったのですが、この卵料理、料理といいながらもしかしたら限りなく「ソース」に近いのではないかしら?と思い始めたのです。
 日本橋の洋食屋「たいめいけん」には故・伊丹十三氏のアイデアで「タンポポオムライス」が商品化されています。ご存知の方も多いかと思いますが、あのチキンピラフの上に乗ったオムレツに、上手い具合にナイフを入れ、観音開きにすれば、あらビックリ!半熟具合のトロトロの「オム」部分が作りだされるではないですか。このトロトロ加減は、「ライス」への「ソース」となって絡まれて食べられる至福の時を迎えるのです。または、焼き肉屋で注文したユッケに添えてあるリンゴの細切りと一緒になったウズラの卵の黄身。一緒に混ぜることによって、円やかに変化したこれまた絡めて食べられる麗しの時。シーザーサラダだって、焼き鳥のつくねにだってみんなみんな「卵ってソースだったのね」と思わせるテクニックがキラーンと光っています。             

このように考えてみると、卵かけご飯の「かきまぜ卵」はスタンダートなニッポンのソースの一例として認識あらためてもいい食べ物のように思えてくるのです。マヨラーが認知された昨今、マイマヨを持参するように卵をソース替わりに持参する日も近い、かもしれないですね。

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イラスト&エッセイスト/関根朝子氏
による美味しいコラムです。

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